オープンアクセスの定義
オープンアクセスは、すべての人がオンラインにより無料で制約なく、必要とする論文等の学術研究成果にアクセスできることを意味します。
オープンアクセスの意義
オープンアクセスは、学術論文の流通を研究者間で促進するだけではなく、広く社会に向けて公開することで、科学の進歩と社会の知識向上を促進する重要な取り組みです。これにより、学術研究の成果が広く社会に還元されます。
オープンアクセスには、以下の具体的な効果があります。
1.「被引用数の増加」 オープンアクセスにより、論文の露出機会が増え、被引用数が増加する傾向があります。
2.「イノベーションの創出」 研究成果が広く共有されることで、異分野の研究者間のコラボレーションや、企業における製品開発等が促進され、新たなアイデアやイノベーションが生まれやすくなります。
3.「情報格差の解消」 世界中のどこからでもアクセスできるため、情報格差の解消に寄与します。特に、途上国の研究者にとっては、学術情報へのアクセスが容易になります。
4.「学術情報へのアクセス向上」 誰でも無料で学術論文にアクセスできるため、研究者だけでなく、学生や一般市民も最新の研究成果に触れることができます。
5.「研究の透明性と質の向上」 研究成果が広く公開されることで、研究の透明性が高まり、再現性のある質の高い研究が促進されます。
6.「社会的説明責任の遂行」 公的資金を利用した研究成果を広く公開することで、研究機関や研究者は社会に対する説明責任を果たすことができます。
また、オープンアクセスを包摂する概念として、オープンサイエンスがあります。オープンサイエンスが包摂する概念は、オープンアクセスの他に、ソフトウェアやツールを公開し、誰でも利用・改良できるようにするオープンソースや、研究データを公開し、他の研究者や市民が利用できるようにするオープンデータ等があります。
国際的な潮流として、オープンサイエンスは存在感を増しています。2021年の第41回ユネスコ総会において、「オープンサイエンスに関する勧告」として採択され、193カ国がオープンサイエンスの共通基準を遵守することに合意しました。また、2023年にはG7仙台科学技術大臣会合において、「G7科学大臣コミュニケ」(共同声明)が採択されました。声明には「科学研究の自由と包摂性の尊重とオープン・サイエンスの推進」が明記されています。
“Open Science”. UNESCO.
https://www.unesco.org/en/open-science
G7科学技術大臣コミュニケ(仮訳) 仙台、2023年5月12日-14日
https://www8.cao.go.jp/cstp/kokusaiteki/g7_2023/230513_g7_kariyaku.pdf
オープンサイエンスとは
https://rcos.nii.ac.jp/document/openscience/
オープンアクセスの種類
グリーンOA
論文の著者自身が、所属する大学や研究機関のウェブサイトやリポジトリなどで論文を公開する方法です。
ゴールドOA
論文の著者(または所属機関)が、出版社に論文掲載料(APC: Article Processing Charge)を支払い、論文をオープンアクセスにする方法です。論文は、出版社が運営するウェブサイト上で公開されます。
その他のOA
ダイヤモンドOA:学会費や助成金などで費用負担されており、著者と購読者双方に費用負担が発生しないオープンアクセスの形態です。
ブロンズOA:学術論文が出版社のウェブサイトで無料で閲覧できる形式ですが、明確なライセンスが示されていないため、再利用が制限されることが多いオープンアクセスの形態です
オープンアクセスに関連する基礎知識
ライセンス
作成中
永続識別子
永続識別子とは、デジタルオブジェクトに対して与えられる恒久的な参照記号です。参照先に、何らかの変更やシステムの移行があっても、常に同じオブジェクトを指し続けるように設計されています。永続識別子には、研究者を識別するORCIDや、主に学術論文や研究データを識別するDOI等があります。
ハゲタカジャーナル
ハゲタカジャーナルとは、論文の著者から高額な論文掲載料を得ることを主な目的として発行される、低品質なオープンアクセス誌のことです。適切な査読が行われておらず、論文の質や正当性が保証されていないため、投稿した研究者の信用や評価を低下させる可能性があります。