このページは、『渋谷文庫目録-海軍造機技術資料-』渋谷文庫調査委員会の「目録を見方」をもとに作成したものです。

1 渋谷文庫-海軍造機技術資料-目録

渋谷文庫の資料は、

  • 生産技術協会によってすでに区分分類され資料に番号が付されている資料
    (この番号が本目録の「生技協番号」である。)
  • 生産技術協会によってまだ資料に番号が付されていない資料
    (これらの資料に対して、当渋谷文庫調査委員会は新たに番号を付した。それが本目録の「調査委番号」である。また。これらの資料を「S資料」という。)

から成る。

生産技術協会(以下、生技協と称する)は、すでに区分分類し資料に番号を付した前者の資料の内、昭和38年(1963年)2月までに収録されたものを一つの冊子にまとめている。この冊子を「生技協目録」という。本目録ではこの「生技協目録」に対して、資料番号(この番号については凡例にて説明している)「78-013」及び調査番号「78S-013」を付している。
本目録は前者及び後者のすべてを含めて当渋谷文庫調査委員会(以下、調査委と称する)で作成した目録である。ただし、前者の内、「生技協目録」には掲載されているが、実際には今回の整理では不明である資料(202件)も本目録に含まれている。

2 本目録の見方

この目録分類は、「生技協の区分(旧海軍技術資料及び一般資料)」と「調査委で追加した区分」の二つに大きく分けることができる。
前者は「生技協目録」(資料番号78-013)による区分であり、後者のその区分に入らない資料群から調査委が新たに作った区分で、それらの一覧を本目録の“目録区分表”に示している。なお、調査委は「生技協目録」の分類を尊重しており、したがって区分整理に関して不適切な資料も若干含まれている。

本目録の各区分内での資料の記載順は、

第1位 「生技協目録」の生技協番号の若い順
第2位 「S資料」の調査委番号の若い順

また、「生技協目録」に記載されている資料の番号(本目録の生技協番号)には、“機”や“船”など凡例に示す略語を付しており、この略語が重複している場合の優先順位は、機、船、原、砲、火、製、水、電、航の順とする。そして、「生技協目録」に記載されていない資料、すなわち「S資料」には目録区分表の区分番号にSを付している。

したがって、資料を上記の順で記載されているから、区分番号01~47の目録には、先ず「生技協目録」に記載の資料が並び、その後に「S資料」が続く。そして、区分番号50~89の目録には当然「S資料」のみが並んでいる。

なお、資料名の先頭に“旧海軍資料”と明記された資料があるが、これらの資料は調査委が資料内容から旧海軍資料であると独自に判断したものである。したがって、“旧海軍資料”と明記されていない資料の中にも、まだ旧海軍資料が含まれている可能性がある。

資料によっては、同一の資料が複数の区分に分類されていることがある。この場合には、その資料の資料番号に、分類された複数の区分の内、最も若い区分番号を付している。そして、これらの資料は各区分において上記の順すなわち生技協番号あるいは調査委番号の若い順に並んでいる。

本目録中、資料名と生技協番号のみが記載されており、その他は何も記載されていないものがある。これらの資料は、すでに述べたように「生技協目録」には記載されているが、実際には当該資料は今回の整理では不明であることを意味しており、そのような資料には、資料番号の先頭に*印を付している。

最後に、190件の資料が目録整理の最終段階ではみ出したことが判明した。それらの資料についても便宜的に一括して新たに設けた区分番号49に分類し、その区分で資料番号をつけることとした。したがって、これら190件の資料は、資料番号はそのままにして、それぞれ該当する区分に分類し直されている。なお、これらの分類し直した資料は、本目録作成の最終段階であることから、各区分においてその記載順位のルールにかかわらず、各区分の末尾に追記の形で重複記載されている。

3 凡例

この目録は、各資料に対して各区分の中で下記のような体裁で記載されている。

[資料番号][資料名][所管、組織、雑誌名等]
      [原日付][関係者、著者名等][本、袋等][頁数][原本、原紙等]
      [備考]([生技協番号又は調査委番号][登録日])[作業番号]

01-001 旧海軍資料、各種「タービン」翼材ノ高温度に於ケル疲労試験摘要 廣工廠S.17.7
    袋 p.5 [生技協機0013 S.25.2.21] B6-12

01-055 旧海軍資料、駆逐艦山雲中圧タービン実艦試験翼車外貌検査成績(第一次試験)
    横須賀工廠 S.15.7.22 p.36 [調査委 01S-002]A2-108

資料番号 資料に与えた個別の番号で、[区別番号]-[一貫番号]で構成されている。ただし、資料の存在が不明である資料、すなわち資料名と生技協番号のみが記載されてその他は何も記載されていない資料に対しては、この資料番号の先頭に*印を付している。
区分番号 目録区分表の番号である。現在資料が無い場合でも、将来新たに資料が追加されることを考えて、01~99まで設けた。
資料名 主として資料に記載されている標題である。調査委が旧海軍資料であると判断した場合は、資料名の先頭に“旧海軍資料”と明記してある。なお、ここに“空番号”と記入されている場合は、目録作成作業の途中に欠番となったことを意味しており、ここにはもともと資料はない。このような例は45件ある。
所管、組織、雑誌名等 主に工廠名で、雑誌名もあるが、特になければここには何も記載していない。
原日付 原本等の日付である。原本等に日付がない場合はここには何も記載していない。
関係者、著者名 主に著者名である。特になければここには何も記載していない。
本、袋等 資料が本のときは“本”、封筒等に保管されているときは“袋”、図面のときは“図面”、そして杉資料のときは“杉資料”と記して、それぞれ区別している。何も記載されていないときはそれ以外の資料である。
頁数 資料の頁数を示している。
様式 原本か原紙の区別をしている。コピー等の場合はここには何も記載していない。
備考 資料の内容説明等、特記事項を記載している。
生技協番号又は調査委番号 生技協番号は生技協が資料に与えた個別の記号番号であり、造機関係は“機”、造船関係は“船”、原子力関係は“原”、砲熕は“砲”、製鋼は“製”、水雷は“水”、電気は“電”、航海兵器は“航”などの略語をそれぞれ付している。この例では、機0013は「生技協目録」に記載された造機関係13番目の資料であることを示している。
また調査委番号は、すでに説明したように生技協番号の与えられていない資料に対して調査委が与えた個別の記号番号で、区分番号にSを付している。この例では、01S-002じゃ目録区分表による区分01に分類される「S資料」群の内の、調査委が調べた2番目の資料であることを示している。
登録日付 原日付ではなく生技協等がコピーした日付で、不明なときは何も記載していない。
作業番号 調査委の私用番号で、目録作成作業中の資料の保管場所を示している。

注)本目録の資料には種々の番号が付されており、それぞれについて説明してきたが、ここで再度、これら一連の番号の意味について説明を加える。
生産技術協会は戦後集めた資料を、造機関係、造船関係、原子力関係、砲熕、火薬、製鋼、水雷、電気、航海兵器などに分類し、それぞれの区分ごとに通し番号を付した。例えば造機関係の12番目の資料には、機0012を付している。本目録では、略語付きのこの番号を“生技協番号”を呼んでいる。さらに生技協は、造機関係を27個に、造船関係を8個にそして原子力関係を5個に細分類してNo.01~47の区分を設けて目録を作成した。その目録をここでは“生技協目録”と呼んでおり、本目録の作成にこの生技協目録が大いに有用であった。生技協は、収集した資料のすべてにこのような生技協番号を付したわけではなく、1540件の資料には番号が付されていなかった。この件数は、本目録の全資料4413件の34.9%に相当する。そこで当渋谷文庫調査委員会は、これらの資料をすでに区分されている47種類に分類し、さらにそれらの区分に分類できない資料に対して新たにNo.50~89の区分を設けてそこに分類した。この01から89までに番号を“区分番号”と称している。調査委は、このように分類した資料に対して、生技協が分類した資料と区別するために、Sを付した区分番号と通し番号を組み合わせた“調査委番号”を与えた。例えば管装置に分類された24番目の資料には14S-024を付している。
また、本目録の作成過程において現物の資料の確認が重要であり、その確認作業を容易にするためには資料が目録作成作業中の保管室のどの位置に置かれているかを知る必要がある。そのために付した番号が“作業番号”である。したがって、本目録の利用者にとってはこの番号は不要である。