パチョーリ(Pacioli,Fra Luca)は、1445年頃イタリアに生まれ、1517年頃に没したイタリアの数学者である。有名なレオナルド・ダ・ビンチと親しい友人関係にあったと伝えられているので、まさにルネッサンスの真只中を生きた人物である。この著作は、パチョーリの主著で基本的に数学書であるが、その中に複式簿記に関する記述を含んでいることによって、印刷出版された世界最古(1494)の会計書として栄誉を担っている。
「スムマ」と略称されるこの書は、縦31.5cm、横22.3cm、308丁の一冊本であるが、題名は通常「算術、幾何、比及比例全書」と和訳されている。当時の出版物はラテン語が主流であったが、本書はイタリア語で書かれていることから一般大衆用の著述であるとも言われている。初版本には「コロンビア大学図書館所蔵版と」「日本大学図書館所蔵版」の二種類あり、本学図書館所蔵のものは「コロンビア大学図書館所蔵版」により近いと思われる。
(社会科学系図書館(9-1-923))
参考文献 : 南 諭造 「古版経済書管見」(神戸商大新聞 昭和10年3月20日号)